交通事故に遭われた方は,通常相手方の保険会社との間で損害額の交渉をされることになりますが,保険会社から提示される金額は,裁判所での判決により認められる金額と比較して低額であることが通常です。安易に和解をせずに,一度弁護士に相談されることをお勧めします。
交通事故につきましては,受任時にいただく着手金を,事件解決後に,得られた損害賠償金からいただくようにすること(着手金の後払い)が可能です(ただし事案によってはできない場合がありますので,まずはご相談ください)。
また,弁護士保険に加入されている方は,着手金は保険から,成功報酬は得られる損害賠償からお支払いいただけますので,実質的には金銭的なご負担なく訴訟まで行うことができます。
- 交通死2011-11-21
- 『交通死』(岩波新書,1997年)は,大学の経済学部に所属され研究をされている,二木雄策さんの著書です。二木さんは,1993年1月16日に,翌日に成人式を迎えるはずだった,最愛のお嬢さんを交通事故で亡くされた方です。『交通死』は,二木さんがそのお嬢さんの事故で関わられた刑事裁判,民事裁判を通じて,現在の裁判制度の問題点を指摘された作品です。その『交通死』を拝読し,司法権の担い手として考えた内容をまとめたものです。
- 因果関係と盗難車2012-09-26
- Aさんが自宅マンションの駐車場に,所有していた自動車をドアに鍵をかけないまま駐車して,その結果自動車が第三者Bの盗難に遭ったとします。第三者Bが数日後にその自動車を運転していたところ,運転を誤り,交通事故を起こしCさんに損害を負わせたとします。 この場合AさんはCさんに対し,Cさんが被った損害の賠償責任を負うか,という問題があります。一件シンプルに見えて,実は「因果関係」が評価を伴うものである,ということを教えてくれる問題点です。 この問題を通して「評価を行うことの難しさ」について考えた内容です。
- 未成年者の不法行為と親権者の責任2014-12-14
- 私が弁護士として法律相談をおうかがいしていると,「法律の規定と日本の社会意識の間に齟齬がある」ように感じることがあります。その1つが,未成年者の不法行為における親権者の責任です。そこには,狩猟文化であるドイツの民法を紙に書かれた活字として輸入した日本の民法と,稲作文化である日本固有の社会意識との間の齟齬があるように感じています。 でもさらに申すと,日本の最高裁判所では,その齟齬を埋めるかのような解釈論を用いて,被害者を救済している事例があるのです。その解釈を促したのは何かを考えた内容です。
- サッカーボールと親の責任2015-04-15
- 小学生が,小学校の校庭でサッカーボールを蹴り,校庭から蹴り出されたボールが原因で交通事故が起きました。交通事故の被害者は,そのボールを蹴った小学生の両親に対して,交通事故で生じた損害の賠償を求めたのです。その裁判で,最高裁判所(第一小法廷)は平成27年4月9日,「子供の日常的な行為のなかで起きた,予想できない事故について,親は賠償責任を負わない」との判断をしました。それは,これまでの判例法からすると,親の責任を限定する,新しい判断だったのです。その新しい判例を題材として,私達の社会における「公平」について考えた内容です。